1. 非接触三次元測定とは?

非接触三次元測定とは、対象物に直接センサーや測定子を触れさせることなく、光やレーザーなどを照射して、その形状や寸法を三次元(3D)のデジタルデータとして計測する技術の総称です。非接触三次元測定の精度検証規格としては、ISO 10360-08(三次元測定システムの精度試験)やVDI/VDE 2634(光学式3D測定システム)が国際的に用いられています。

従来の「接触式」の三次元測定機は、プローブと呼ばれる針先のセンサーを対象物にコツコツと物理的に当てて座標を取得していました。精度は極めて高いものの、柔らかいゴム製品や触れると壊れてしまう文化財、あるいは巨大な建築物などを測定することは不可能でした。 「非接触式」は、光を用いるため対象物を傷つけることなく、一瞬で数十万から数百万という無数の座標点(点群データ)を取得できるため、製造業のリバースエンジニアリングから建設業界の空間測量まで、幅広い分野で爆発的に普及しています。

2. 非接触測定の主要な3つの方式(仕組みと原理)

非接触三次元測定は、光を使って「対象物までの距離や形状」をどのように捉えるかによって、主に3つの方式に分けられます。

(1)光切断方式(レーザースキャナー)

最もポピュラーな方式です。対象物に線状の細いレーザー光(ラインレーザー)を照射し、対象物の凹凸にあわせて歪んだレーザーのラインを斜めからカメラで撮影します。この歪み具合から「三角測量の原理」を用いて高精度な三次元形状を割り出します。周囲の明るさの影響を受けにくく、シャープなエッジを正確に捉えられるため、工業製品の検査などに適しています。

(2)パターン光投影方式(構造化照明方式)

プロジェクターのような光源から、縞模様や格子状の特殊なパターンの光(フリンジパターンなど)を対象物にまとめて投影します。対象物の形状によってパターンがどう歪んだかをカメラで撮影・解析し、形状を一瞬で面として取得します。データ取得速度が非常に速く、人体などの少し動いてしまう対象物や、曲面の滑らかな形状を計測するのに適しています。

(3)ToF方式(Time of Flight / パルスレーザー方式)

レーザー光を一瞬だけパルス状に発射し、対象物に反射してセンサーに戻ってくるまでの「時間」を計測して距離を割り出す方式です。光の速度を基準にするため、数十メートルから数キロ先など、遠くのものを計測するのに圧倒的な強みを持っています。建設現場で使う地上型3Dレーザースキャナーや、自動運転車のLiDAR、ドローン測量などに採用されています。

3. 非接触三次元測定機の種類(ハードウェア)

実際に非接触測定を行うためのハードウェア(機器)は、測定したい対象物の「大きさ」によって使い分けられます。

  • 卓上型(デスクトップ型)スキャナー ターンテーブルに対象物を置き、自動で回転させながら全方位をスキャンします。数cm〜数十cmの小さな歯車やジュエリーなど、微細な部品を超高精度に測定するのに適しています。
  • アーム型・ハンディ型スキャナー 作業者がセンサーを手に持ち、対象物の周りを動きながらスキャンします。車のボディや大型機械の部品、配管の裏側など、ロボットや固定機では届かない複雑な形状を手軽に計測できます。
  • 地上型(据え置き型)レーザースキャナー 三脚にセットし、周囲360度を一気にスキャンします。工場全体、プラント設備、ビルディング、橋梁など巨大な構造物の測量(空間計測)に特化しています。

4. 接触式との比較と、非接触方式の「弱点」

非接触三次元測定には大きなメリットがある一方で、光を使うがゆえの物理的な「弱点」も存在します。導入や依頼の前には、これらを理解しておくことが重要です。

  • 光沢・透明・漆黒の素材に弱い レーザーや光が乱反射(鏡面反射)するピカピカの金属パーツや、光が透過してしまうガラス・透明プラスチック、光を吸収してしまう黒い素材などは、上手く測定できずデータに穴が空いてしまいます。これらを測る場合は、対象物にチョークのような反射防止スプレーを塗布する前処理が必要です。
  • 見えない部分(死角)は測定できない 内部の空洞や、複雑な重なりの奥まった部分は、光が届かずカメラから見えないため測定できません。
  • 穴の径などのエッジ精度 高い精度を誇る非接触ですが、ネジ穴の中心位置や精密な円筒の真円度などを1ミクロン(0.001mm)単位で測定する場合は、今でも接触式の三次元測定機に軍配が上がります。

5. 巨大なプラント空間も「非接触」で高精度に図面化!愛管株式会社のフルサポート

製造部品などの小さなものであれば、ハンディ型や卓上型のスキャナーを購入して自社で運用することが可能です。しかし、測定対象が「巨大な工場建屋」や「配管が入り組んだプラント設備」となった瞬間、必要な機材とノウハウのハードルは劇的に跳ね上がります。

空間全体を非接触で高精度に測るためには、数百万円クラスの「地上型3Dレーザースキャナー」等の導入投資と、巨大な点群データを解析・CAD化するための専門ソフトウェア環境、そして専門スタッフの存在が不可欠になります。

愛管株式会社では、空間の非接触測定から、そのデータ活用(図面化・施工等)に至るまでの全工程を完全内製で行うワンストップ・3Dスキャンサービスをご提供しています。

現場での非接触測定には、建設・土木業界でも最高峰のシェアと精度を誇る固定型レーザースキャナー「Trimble X7(ToF方式)」を主軸に採用。さらに、固定型では光が届かない配管裏の暗がりや狭小な死角に対しては、機動力のあるハンディ型スキャナー「3DMakerpro Eagle Max」を併用するハイブリッド体制で、空間の情報を余すことなく取得します。

実際のプラント現場等では、入り組んだ設備の全体像を捉えるために200平米ほどの面積で30回以上スキャナーの設置位置を変更(盛り替え)しながら、半日以上かけて綿密なスキャン作業を実施します。私たちはそのような過酷な現場での非接触測定の労力をすべて引き受けます。

さらに、ただ点群データを納品するだけでなく、自社オフィスの専門環境にて「InfiPoints」による点群の最適化を行い、業界標準の設備CADソフト「Rebro」を用いて、実際に改修計画へと活用できる正確な「3DCAD図面」へと生まれ変わらせて納品いたします。

徹底した自社内製化により、中間外注コストを発生させない「面積・階数ベース」の明朗なお見積りで、全国各地の現場へと出張対応いたします。現場の現況寸法がわからずお困りの方は、ぜひ愛管の非接触三次元測定サービスをご活用ください。

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参考文献

  • ISO 10360-08 “Geometrical product specifications — Acceptance and reverification tests for CMMs — Part 8”
  • VDI/VDE 2634 “Optical 3D measuring systems”