1. 「走りながら測る」究極の広域3Dスキャン技術:MMS

広大な道路や、数十キロに及ぶ街のインフラを、人間が歩きながら測量するのは現実的ではありません。そこで近年、国土や自治体のインフラ管理において主役となりつつあるのが、MMS(Mobile Mapping System:モービルマッピングシステム=車載写真レーザ測量)という技術です。

MMSは、自動車のルーフ(屋根)に、高精度な3Dレーザースキャナー、全方位カメラ(360度カメラ)、そして極めて正確なGPSアンテナなどをすべてひとまとめにして搭載した「走る測量基地」です。 時速60kmなどの通常の速度で街を走り抜けるだけで、道路の白線、標識、周囲の建物、電柱といった街のあらゆる要素を、数センチ単位の正確な位置情報を持った「色付きの3D点群データ」として一気に取得していきます。まさにGoogleストリートビューの「ミリ単位の3D空間版」を作り出す技術です。海外では、MMSで取得したデータを基に作成される「高精度三次元地図(HDマップ)」の規格化が進んでおり、欧州では ADASIS(Advanced Driver Assistance Systems Interface Specification)、米国では SAE J3 Missionが自動運転向け地図データの標準化を推進しています。

2. MMSの3つの主要な活用シーン

MMSが取得した「道路に特化した広大な3Dデータ」は、次のような国家・自治体レベルの大きなプロジェクトで必須の基盤となっています。

① 自動運転用の「高精度3次元地図(HDマップ)」の作成

車がGPSやセンサーだけに頼らず「今、自分がこの車線の中心から何センチのところを走っているか」を正確に認識するためには、事前にMMSが走り回って作成した「数センチ精度の3次元道路地図」という絶対的なカンニングペーパー(インフラ)が必要不可欠です。

② 道路やインフラの「一括点検・維持管理」

道路の陥没やひび割れ、トンネルの内壁の劣化、斜面の崩落の危険性などを、職員が現地を歩いて確認するのではなく、MMSで定期的に走り抜けてスキャンした3D点群データの「過去と現在の差分」をパソコン上で比較することで、危険箇所をいちはやく自動検知できます。

③ 防災・ハザードマップのためのシミュレーション

街全体の正確な標高(傾斜)データが取得できるため、「この川が氾濫した時、どの道を通ってどこまで水が広がるか」といった水害シミュレーションを、極めて現実の地形に近い3Dモデル上で行うことができます。

3. 広域をカバーするMMSと、ミリ精度の「地上型スキャン」の境界線

このように、MMSは「道路環境という広大な線形インフラ」を数十キロ単位でマクロに捉えることにおいては地上最強の測量システムです。

しかし、一歩道路から外れて「複雑に入り組んだ工場の建物の内部」や「ビルの屋上の密集した配管設備」の改修図面を作りたい、となると、車が入れないMMSは手も足も出ません。 さらに、MMSは走りながら測るため、「数センチ」の誤差が生じます。プラントの配管改修において「数センチの誤差」は「工場で切断した新しいパイプが、現場でぶつかって入らない」という大事故(手戻り)に直結します。 複雑な設備内で、絶対に寸法の狂いが許されない「ミリ単位」の空間図面化を行う場合には、その場に三脚を立てて固定し、ミクロな寸法を正確にえぐり出す「地上型(固定型)3Dレーザースキャナー(TLS)」の独壇場となります。

4. 複雑なプラント設備・工場の「ミリ単位」スキャン図面化は愛管へ

「広大な道路ではなく、工場の複雑な配管・設備を改修するために、死角のない完璧なミリ単位の現況図面データが欲しい」 そのような、MMSなどの広域技術では測れない精細な設備現場の確実な図面化は、設備の配管設計・施工の裏の裏まで知り尽くした愛管株式会社のワンストップ・3Dスキャンサービスにお任せください。

空間の絶対的な寸法精度を担保するため、私たちは建設現場で最高峰の信頼を得ているハイエンド地上型レーザースキャナー「Trimble X7」を自社導入しています。プラントのような入り組んだ数十メートルの空間であっても、常に【数ミリ以内】の安定した誤差で正確に空間を点群化します。 さらに、固定型ではどうしても生じてしまう配管の裏や機械の下の「死角」に対しては、高精度ハンディ型スキャナー「3DMakerpro Eagle Max」を併用します。スタッフが30回以上の機材の設置移動(盛り替え)を行い、半日以上を這いつくばって現場の寸法情報を死角なく徹底的に記録し尽くします。

そして愛管の最大の強みは、持ち帰った巨大な点群データを「InfiPoints」等のプロ用ソフトで解析・最適化し、お客様が普段使い慣れている業界標準の設備CADソフト「Rebro」などで即座に使える「完璧な精度の3DCAD図面にモデリング(図面化)」して直接納品する点にあります。

過酷な現場のミリ単位スキャンから、高度なモデリング図面化までのプロセスすべてを、外注下請けゼロの「完全内製化」で請け負うため、面積と階層に基づく明朗会計で全国の工場や建築現場へ出張対応いたします。 (静岡県内の現場であれば、作成した高精度図面を用いて、実際の配管・設備改修工事自体も自社で一貫施工可能です)

車載スキャンやスマホでは到達できない、絶対に現物合わせの手戻りを起こさないプロのための「固定型スキャン図面作成」は、愛管の3Dスキャンサービスへご相談ください。

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参考文献

  • ADASIS (Advanced Driver Assistance Systems Interface Specification) — 自動運転向けHDマップの欧州規格として参照
  • SAE J3 Mission (HD Mapping) — 米国における自動運転用地図データの標準化として参照