1. 三次元測定機(CMM)とは?

三次元測定機(CMM:Coordinate Measuring Machine)は、対象物の立体的な「幅・奥行き・高さ(X・Y・Z軸)」の寸法や座標を、極めて高い精度で計測する専用の精密機器です。

従来のノギスやマイクロメーターなどの手動工具を用いた計測では、測定者によって誤差が生じたり、曲面や複雑な立体構造を正確に測ったりすることが困難でした。三次元測定機は、対象物の表面の無数の「ポイント」の座標を取得し、その座標データを元にコンピュータが真円度(どれだけ完璧な円か)や平面度、穴と穴の中心間距離などを自動計算します。航空宇宙部品、自動車部品、金型などの厳格な品質管理(寸法検査)において、なくてはならない絶対的な基準となる測定ツールです。

2. 三次元測定機の「接触式」と「非接触式」

三次元測定機は、座標を取得(センシング)する方法によって大きく2つのタイプに分類されます。

接触式(プローブ方式)

先端に人工ルビーなどの硬い球体がついたセンサー(プローブやスタイラスと呼ばれる)を、対象物の表面に「コツッ」と物理的に当てて座標を取得する、最も伝統的で信頼性の高い方式です。
【メリット】

  • 1ミクロン(0.001mm)未満の超高精度な計測が可能。
  • 光沢のある金属や、黒い部品、透明なガラスなどでも色や反射の影響を受けずに測れる。
    【デメリット】
  • 1点ずつ点を取るため、計測に時間がかかる。
  • ゴムなどの柔らかい素材は、プローブが触れた瞬間に変形してしまうため正確に測れない。

非接触式(レーザー・光学方式)

レーザー光や特殊なパターンの光を対象物に照射し、カメラでその反射を捉えることで形状を読み取る方式です(3Dスキャナーとも呼ばれます)。
【メリット】

  • 一瞬で数十万から数百万の「面」のデータ(点群データ)を取得でき、圧倒的に速い。
  • 触れないので、柔らかいものや壊れやすいものでも計測可能。
  • 複雑な曲面(自由曲面)の形状把握が得意で、CADデータとの全面誤差判定(ヒートマップ表示など)に向いている。
    【デメリット】
  • 光の反射を使うため、ピカピカの鏡面や透明な部品は、反射防止スプレーなどの前処理が必要。
  • ミクロン単位の穴の精度など、極限の精度追求においては接触式に劣る。

海外の製造業・品質管理(QC)の現場では、数十ポイントの測定に15〜20分以上かかるなど接触型CMMの「検査時間の長さ」がボトルネックとなるケースが頻発しています。この課題に対し、全体的な表面形状の検査を高速な非接触スキャナーにオフロード(分担)し、数ミクロン単位の厳格な公差判定が必要な穴やピンのみをCMMで測定するといった運用が行われており、検査全体のスループットを大幅に改善しています。

近年では、基本は接触式で測定し、必要に応じてヘッドを非接触レーザースキャナーに交換できる「マルチセンサー型」の導入も進んでいます。

3. 三次元測定機の種類とハードウェア構成

測定したい対象物のサイズや、設置環境に合わせて、さまざまなハードウェアの形状があります。

  1. 門型(ブリッジ型) 最も一般的な据え置き型。頑丈な石定盤(ベース)の上に門のようなフレームが乗っており、そのフレームが動いて計測します。高い精度と安定性を誇り、恒温室(常に温度が一定に保たれた検査室)に設置されるのが基本です。
  2. 多関節アーム型 人間の腕のように関節を持ったアームの先端にプローブやスキャナーが付いているタイプ。現場に持ち運ぶことができ、大型の金型やプレス部品などを加工機に載せたまま計測(機上計測)したい場合に重宝します。
  3. ハンディ型スキャナー 作業者が完全に手に持って対象物をなぞるように測定する、機動力に特化した非接触方式の測定機です。
  4. レーザートラッカー / 地上型(据え置き)レーザースキャナー 部品ではなく、飛行機や車両といった超大型の構造物、あるいは「工場や建物の空間全体」といったメートル単位〜数十メートル単位の対象物を高精度に計測します。

4. 三次元測定機の導入・運用のカギ

三次元測定機は、導入してすぐに誰もが使いこなせるものではありません。

最大の課題は「温度管理」です。金属などの素材は温度が1度変化するだけでミクロン単位で膨張・収縮します。そのため、高精度な門型の三次元測定機を運用するには、室温が常に20度(±1度など)に保たれた専用の恒温検査室を建設する必要があります。

もう一つの課題は「熟練オペレーターの育成」です。どこをどの順番で測定するか(測定プログラムの作成)、取得したデータからどうやって寸法を割り出すかという、専用ソフトウェアの高度な操作スキルを持った人材が不可欠です。近年はCADデータを取り込んで自動でプログラムを作成する(オフラインティーチング)機能も普及していますが、依然として確かな測定知識が求められます。

5. 工場設備やプラント「空間」の高精度三次元測定は、愛管株式会社へ

部品や金型の精密検査には門型やアーム型の三次元測定機が活躍しますが、「工場のレイアウト変更をしたい」「既存の配管設備を改修したい」といった”建設・設備空間全体”の三次元測定となると、まったく別のアプローチが必要になります。

空間全体のデジタル化(現況寸法の取得)には、広範囲を一気にスキャンできる「地上型3Dレーザースキャナー」が用いられます。しかし、これを自社で購入し、大容量の点群データを扱える専門パソコンと、それをCAD図面へと変換するための専用ソフトウェア(何百万円単位の投資)を揃え、さらに操作スタッフを育成するのは、企業にとって現実的な選択ではありません。

もし「自社工場の最新の3D図面が欲しい」「紙の図面と現状の配管位置が違っていて困っている」といったお悩みがあれば、ぜひ愛管株式会社のワンストップ・3Dスキャンサービスをご利用ください。

私たちは、建設・測量業界でハイエンド機種として名高い固定型3Dレーザースキャナー「Trimble X7」を駆使し、プラント設備などの巨大な空間を非接触で高精度に三次元測定いたします。 レーザー測量の大敵は「死角」です。複雑に入り組んだ配管設備では、200平米ほどの面積であっても測定位置(盛り替え)を30回以上変更し、半日以上の時間をかけてあらゆる角度から空間をスキャンし尽くします。加えて、固定機ではどうしても入り込めない機械の裏側や天井裏の狭小スペースには、機動力のあるハンディ型スキャナー「3DMakerpro Eagle Max」を併用してデータを補完し、死角のない最高品質の点群データを取得します。

そして、当社の最大の強みは「測定したデータを、生きた図面に変える」内製化体制にあります。 取得した大容量の点群データを、高性能な自社オフィス環境にて専用ソフト「InfiPoints」でクリアに仕立て上げ、設備CADの業界標準である「Rebro」を用いて、お客様の改修計画にそのまま使える「正確な3DCAD化(モデリング)」まで行います。

これらのハードな現場スキャン作業から高度なオフィスでのデータ図面化を、外注を通さない「完全内製化」で請け負うため、中間マージンを一切排除した「面積・階数ベース」のシンプルな明朗会計で全国出張対応いたします。 巨大空間の三次元測定から図面化まで、現場の課題解決は愛管のワンストップサービスにお任せください。

関連記事

参考文献

  • “CMM vs 3D Scanner in Quality Control: Overcoming Inspection Bottlenecks” — Creaform (QC現場におけるCMM運用課題と3Dスキャナーとのハイブリッドによるスループット向上の事例として参照)