1. 図面がない建物のリノベーションが抱えるリスク
近年、サステナビリティの観点や独特の風合いを楽しむ目的で、築数十年のヴィンテージマンションや古民家、古い倉庫などを改装して住居や店舗にする「リノベーション」が大流行しています。欧州でもEUが「Renovation Wave Strategy」を掲げ、2030年までに年3,500万棟の既存建物のエネルギー改修を目指すなど、既存建物のリノベーションは世界的な潮流となっています。
しかし、これらの古い建物には共通する大きなハードルがあります。それは「正確な図面が残っていない」、あるいは「図面と現状が全く異なる(改築や経年による歪み)」ことです。 図面がない状態で新しい間取りや特注の家具を設計すると、いざ現場で施工を始めた際に「想定していなかった位置に抜けない柱があった」「床が傾いていてキッチンが設置できない」といったトラブルが発生し、大幅な設計変更と予算超過(追加費用)を招く原因となります。
2. 3Dレーザースキャナーで「手書きの現況調査」から卒業
リノベーション設計において最初に行うのが、現場に行ってミリ単位で寸法を測る「現況調査(現調)」です。 従来は、設計士や大工が2人がかりでメジャー(コンベックス)やレーザー距離計を持って一日中部屋を測り回り、野帳に手書きで書き写していました。しかし、この方法では測り忘れが必ず発生し、複雑な吹き抜けや、斜めに歪んだ梁の正確な形状を捉えることは不可能です。
ここで活躍するのが3Dレーザースキャナーです。部屋の中央にスキャナーを置き、数分間レーザーを照射するだけで、床の歪み、窓枠のミリ単位の傾き、天井裏の配管の位置など、空間のあらゆる「現状」を数千万の点群データ(3Dデータ)として一瞬でパソコンに取り込むことができます。
3. 点群データがもたらす革新的なリノベ設計プロセス
3Dスキャンによってデジタル化された空間データ(デジタルツイン)は、リノベーションの設計プロセスを劇的に変えます。
- BIM/CADへの下敷き(Scan to BIM) 点群データをそのまま建築CADやBIMソフト(RevitやArchicadなど)に読み込みます。それを下敷きにして、なぞるように壁や柱のCADデータを作成していくことで、完璧に現状と一致した「現況図面」を短時間で作成できます。
- ミリ単位の干渉チェック 「この隙間に特注のシステムキッチンが入るか」「新しい空調ダクトを天井裏の既存配管とぶつからずに通せるか」といった検証が、パソコン画面上で完璧に行えます。
- 施主への圧倒的なプレゼン力 図面が読めない施主に対しても、現在のリアルな点群データの中に新しいデザインの3Dモデルを配置して見せることで、完成後のイメージを直感的に共有でき、合意形成がスムーズになります。
4. 費用対効果とスキャン導入の壁
「すべてのリノベーション現場に3Dスキャンを入れれば良いのでは?」と思われるかもしれませんが、一般の設計事務所や工務店が自社でスキャナーを所有するには壁があります。
最高精度のハイエンドスキャナー本体だけで数百万円、扱うために必要な特殊な点群処理ソフト(InfiPointsなど)も年間数十万円のライセンス費用がかかります。何より、数GB〜数十GBにもなる巨大な点群データを解析し、不要な家具などのノイズを消して「設計に使えるCADデータ」に変換するスキルは、一朝一夕で身につくものではありません。 そのため、「重要だとわかっていても、高額な機材投資と専門スタッフの育成がネックで導入できない」というのが業界のリアルな現状です。
5. 愛管が提供する「図面化」のワンストップ・ソリューション
「図面がない古い建物の現調に時間がかかりすぎている」「特注家具の寸法ミスによる手戻りをゼロにしたい」。 設計士や施工者様のそのようなお悩みは、愛管株式会社のワンストップ・3Dスキャンサービスが解決いたします。
私たちは、建設業界でトップクラスの精度と信頼性を誇るハイエンド固定型レーザースキャナー「Trimble X7」を持ち込み、現場の隅から隅までを完全デジタル化します。さらに、天井裏の入り組んだ隙間や、家具の裏側など、固定用スキャナーでは光が届かない死角には、機動力のあるハンディ型スキャナー「3DMakerpro Eagle Max」を併用。二つの機材のハイブリッド運用により、「情報の抜け漏れゼロ」の完璧な現況データを取得します。
愛管の強みは、現場でのスキャン計測だけで終わらないことです。 持ち帰った巨大な点群データは、自社オフィスの強力な処理環境にて専用ソフト「InfiPoints」でクリアに仕立て上げます。さらに、ご要望に応じて「Rebro」等の建築・設備CADを用い、リノベーション設計にそのまま読み込んで使える「3DCAD図面」へとモデリングした状態で納品いたします。
これらすべての高度な工程を、外注マージンのない「完全内製化」でご提供。建物の「面積・階数」に応じた極めて明朗な料金体系で、全国の現場へ出張測定に伺います。 (さらに静岡県内であれば、作成した図面を元にした実際の改修工事自体も自社でお請け可能です!)
古い建物のポテンシャルを最大限に引き出すスマートなリノベーションは、まずは愛管の3Dスキャンサービスへお気軽にご相談ください。
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参考文献
- EU Renovation Wave Strategy (2020) — 欧州における既存建物リノベーション推進戦略として参照
- RICS “Measured surveys of land, buildings and utilities” — 既存建物の測量基準として参照