1. 「スキャンして終わり」ではない点群データ
3Dレーザースキャナーで現場を計測して得られる「点群データ」は、数千万から数十億個の「座標(X, Y, Z)を持った点の集まり」です。 この生データ(Rawデータ)は、そのままではノイズ(通行人や反射によるゴミデータ)が多く含まれており、データ容量も数十GBと非常に重いため、一般的なパソコンやCADソフトでは開くことすらできません。
そのため、スキャンした点群データを実業務で活用するためには、必ず「点群データ処理ソフトウェア」という専用のツールを通す必要があります。このソフトの性能とオペレーターの腕が、最終的な「3D図面の品質」を決定づけると言っても過言ではありません。
2. 点群データ処理ソフトの主な役割(何ができるのか?)
点群処理ソフトには、大きく分けて以下のような機能が備わっています。
- レジストレーション(位置合わせ・合成) 現場で場所を変えて何回もスキャンした(盛り替えした)別々の点群データ同士を、共通の特徴点(ターゲット球など)を基準にして、ズレなくパズルのように1つの空間に繋ぎ合わせます。
- ノイズ除去・クリーニング スキャン中に写り込んでしまった作業員、車、木々の揺れ、あるいはガラスの反射による虚像(ノイズ)など、設計に不要な点群を自動または手動で削除します。
- 軽量化・間引き データが重すぎる場合、形状を保ったまま点の密度を少し減らす(間引く)ことで、一般的なCADソフトでも読み込めるサイズに圧縮・最適化します。
- モデリング(リバースエンジニアリング) 高度な有料ソフトでは、点群(無数の点)の形を自動認識させ、「これは直径100mmの配管」「これはH鋼材」といったように、CAD向けの立体パーツ(ソリッドやサーフェス)へと変換・抽出する機能を持っています。
3. 無料で使える点群ビューワー・オープンソースソフト
とりあえず自社のパソコンでスキャンデータを開いてみたい、寸法を測ってみたいという場合は、無料のソフトウェアが活用できます。
- CloudCompare(クラウドコンペア) 点群処理の分野で世界的に有名なオープンソース(無料)のソフトウェアです。ノイズ除去や点群同士の距離比較など、有料ソフト顔負けの高度な機能を持っていますが、UIがすべて専門的な英語であり、操作を覚えるのが非常に難しいというハードルがあります。
- MeshLab(メッシュラボ) 点群からポリゴンメッシュへの変換や編集に特化したオープンソースソフト。主に3DプリントやCG用途で使われます。
- スキャナーメーカーの無料ビューワー TrimbleやLeica、FAROなどのスキャナーメーカーは、自社形式の点群データを開いて寸法を測ったり注釈を付けたりできる、軽量な無料ビューワーソフトを提供しています(例:Trimble RealWorks Viewerなど)。
4. プロの現場を支える主要な「有料・ハイエンドソフト」
建設やプラント設備の改修など、業務レベルで点群を正確な図面に変換するには、強力な自動化機能を備えた国産・海外製のハイエンドソフトウェアが必須となります。
- InfiPoints(インフィポイント) / 株式会社エリジオン(国産) 配管やプラント設備の点群処理において、日本国内で圧倒的なシェアと信頼を誇るハイエンドソフトです。数十億点の超巨大データでもサクサク動く独自の描画エンジンと、点群の中から「配管」や「平面」をワンクリックで自動抽出してCADデータ化する強力なリバースエンジニアリング機能が特徴です。
- Trimble RealWorks(トリンブル リアルワークス) スキャナー本体を手掛けるTrimble純正の処理ソフト。自動レジストレーション(合成)機能の精度が極めて高く、土木・測量分野での出来形評価(ヒートマップ作成)などに特化した強力なツールを備えています。
- Leica Cyclone(ライカ サイクロン) 歴史あるライカの統合ソフトウェア。大規模なデータ管理に優れており、世界中の測量・プラント企業で標準的に採用されています。
5. 高額なソフト投資と人材育成の壁を「愛管」が突破します
素晴らしい機能を持つ「InfiPoints」等のハイエンド点群処理ソフトですが、その導入は中小企業にとって簡単ではありません。 ソフトウェアの年間ライセンス費用だけで数十万円〜数百万円。さらに、その重いソフトを動かすための「ワークステーション」と呼ばれる超高性能PC(グラフィックボード搭載)に数十万円。そして何より、点群データからノイズを見極め、正確なCADモデルへと変換する「熟練の3Dオペレーター」を自社で育成・雇用するランニングコストが重くのしかかります。
「自社で点群処理ソフトを購入・運用するのは難しいが、正確な3DCAD図面は欲しい」。そんなお客様は、設備CAD化のプロフェッショナルである愛管株式会社のワンストップ・3Dスキャンサービスをご利用ください。
当社は、自社オフィス内に「InfiPoints」をはじめとする最高峰のソフトウェア環境と強力なPC環境、そして点群を知り尽くした熟練のオペレーター体制を完備しています。 現場での「Trimble X7」および「Eagle Max」を用いたミリ単位のスキャン計測(死角をなくすための数十回に及ぶ盛り替え作業)から、持ち帰った大容量データのノイズ除去、レジストレーション処理、そして業界標準CAD「Rebro」等を用いた「正確な生きたCAD図面化」までを、下請けに出さずに完全一貫対応いたします。
高額なソフトウェア投資の必要なし。純粋な外注サービスとして、面積や階数に応じた明朗な料金体系で全国の現場(工場・プラント・ビル等)へ出張いたします。点群処理の裏方作業はすべて愛管にお任せいただき、お客様は納品された完成図面をスマートにご活用ください。
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参考文献
- ASTM E2807 “Standard Specification for 3D Imaging Data Exchange, Version 1.0” (E57 format)