1. 点群データのフォーマット(拡張子)が重要な理由

3Dスキャナーで対象物を計測すると、数百万〜数十億の「点の集まり(点群)」が生成されますが、このデータをパソコンに保存する際の「ファイル形式(拡張子)」は一つではありません。写真データにJPEGやPNG、RAWがあるように、点群データにも様々なファイル形式が存在します。

代表的なものとして、E57形式はASTM E2807として国際規格化され、LAS形式はOGC(Open Geospatial Consortium)がLAS 1.4としてコミュニティ標準に採用しています。こうした標準化のおかげで、異なるメーカーのスキャナーやソフトウェア間でのデータ互換性が確保されています。

外部の測量業者に3Dスキャンを依頼してデータを受け取る際、自社のCADソフトやビューワーソフトが対応していない形式(マイナーな形式やメーカー独自の形式)で納品されてしまうと、「データが開けない」「色情報が失われている」といったトラブルになります。 点群を活用するためには、主要なファイルフォーマットの特徴と、自社の目的(BIMに読み込むのか、3Dプリントするのか、土量計算するのか)に合った形式を知っておくことが不可欠です。

2. 実務でよく使われる主要な点群フォーマット

建設、測量、製造分野で標準的にやり取りされる代表的な形式は以下の通りです。

E57(.e57)|業界標準・オールマイティ

現在、建設やプラントの3Dスキャン業界で「最も安全で標準的」とされているフォーマットです。ASTM(米国試験材料協会)が定めた国際標準規格であり、点群の座標(XYZ)だけでなく、カラー情報(RGB)、レーザーの反射強度、さらにはスキャナーの設置位置など、豊富な情報をひとまとめにして保存できます。主要な点群処理ソフト(InfiPoints等)やBIMソフト(Revit等)の多くが標準で読み込みに対応しています。

LAS(.las) / LAZ(.laz)|測量・広域地形向け

航空測量やドローン(UAV)によるLiDAR測量など、広大な地形データのやり取りに特化した形式です。ASPRS(米国写真測量リモートセンシング学会)が策定し、国土交通省のi-Constructionの納品形態としても指定されています。LAZはLASを圧縮してファイルサイズを小さくしたものです。

PTS(.pts) / PTX(.ptx)|シンプル・高解像度

元々はLeica(ライカ)社が開発した形式ですが、現在では多くのソフトで読み書きできる汎用形式として普及しています。データを圧縮せずにテキスト形式で保存するため、ファイルの容量は数十GBと非常に巨大になりますが、データの欠損が起きにくく、色彩の品質が高いのが特徴です。

PLY(.ply) / OBJ(.obj) / STL(.stl)|3Dプリンター・CG向け

これらは厳密には「点群」専用ではなく、点を面(三角形)で結んだ「ポリゴンメッシュ」を保存するための形式です。OBJは色や質感(テクスチャ)を持たせることができ、ゲームやメタバース向けに。STLは色情報を持ちませんが形状が安定しているため、3Dプリンター用の標準形式として使われます。

3. スキャナーメーカー独自の「生データ形式」

汎用的なフォーマット以外に、スキャナーメーカー各社が自社の機器・ソフト間でだけ最高効率で動くように最適化した「生データ(ネイティブフォーマット)」が存在します。

  • RCP / RCS(Autodesk社):RevitやAutoCADで点群を読み込むための専用キャッシュ形式。
  • FZK / FLS(FARO社):FAROのスキャナー専用形式。
  • TZF(Trimble社):Trimbleのスキャナー専用形式。

メーカー独自のフォーマットは読み込みスピードが極めて速いのがメリットですが、専用のソフトを持っていない相手には渡せません。そのため、通常はスキャン完了後に前述の「E57」などに書き出してからやり取りを行います。

4. フォーマット変換の落とし穴と苦労

「とりあえずE57で貰えば間違いない」というのは事実ですが、受け取った側のソフトに読み込む際にトラブルが起きることがあります。

例えば、1つのE57ファイルが「50GB」もある場合、標準的なスペックのパソコンでは読み込みのプログレスバーが途中でフリーズしてしまったり、ソフトが強制終了(クラッシュ)してしまったりします。 また、複数の場所からスキャンしたデータが「統合(レジストレーション)」されずにバラバラのファイルのまま納品された場合、自社で位置合わせを行うソフトとノウハウがなければ、全く使い物になりません。

5. 点群データの煩わしさをゼロに!愛管の「図面化」納品サービス

このように、点群データの取り扱いは「フォーマットの壁」と「データサイズの壁」が立ち塞がり、自社でハンドリングするのは容易ではありません。

「点群形式の拡張子のことはよくわからない」「受け取っても自社のパソコンが重くて開けない」「本当に欲しいのは点群ではなく、改修設計に使える『配管のCADデータ』だ」。 そのようなお客様のリアルな声にお応えするのが、愛管株式会社のワンストップ・3Dスキャンサービスです。

私たちは、お客様に「重くて使いにくい点群データ(Rawデータ)を丸投げする」ような仕事はいたしません。 現場にハイエンド固定型スキャナー「Trimble X7」と、死角をカバーするハンディ型スキャナー「3DMakerpro Eagle Max」を持ち込み、入り組んだプラント設備であれば30回以上の盛り替えを辞さず、過酷な現場で死角ゼロのスキャンを完遂します。

その後、持ち帰った大容量の点群データを、私たちの自社オフィスのハイスペック環境にて「InfiPoints」等の専用ソフトで美しく最適化します。 そして最大の強みは、その点群から配管や設備をリバースモデリングし、お客様が普段使い慣れている業界標準の設備CADソフト(Rebroなど)の形式で「完全な3D図面(ソリッドモデル)」として納品する点にあります。

お客様は特殊な点群ビューワーをインストールしたり、巨大なE57ファイルと格闘したりする必要は一切ありません。いつものCADソフトを開けば、そこにミリ単位で現場を再現した最新の現況図面が広がっています。 面倒なデータ変換や測量作業を外注レスの完全内製化で行うため、「面積・階数」ベースの明朗会計で出張お見積りが可能です。(静岡県内の現場であれば、作成した図面を基にした実際の配管改修工事自体も自社でお引き受けいたします)

点群データの扱いに悩まされることのない、スマートな図面更新は愛管株式会社にお任せください。

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参考文献

  • ASTM E2807 “Standard Specification for 3D Imaging Data Exchange, Version 1.0” (E57 format)
  • OGC LAS 1.4 Community Standard — 点群データの国際標準ファイル形式として参照