1. プラント改修工事における究極の課題
化学工場、製鉄所、食品プラントなどの「プラント設備」の改修・更新工事において、現場のエンジニアや施工管理者が最も頭を悩ませるのが、無数に入り組んだ「既存配管」をどう避けて新しい配管・機器を通すかというルーティング(経路設計)の問題です。
海外の石油化学プラントでは、定期修繕(ターンアラウンド)前に3Dスキャンで現況を把握し、工場を停止する前に配管のプレハブ加工を完了させることで、停止期間を従来の70%に短縮した実績もあります。プラント配管設計の国際規格であるASME B31.3(プロセス配管コード)に準拠した精度が、こうした事前加工には不可欠です。
プラントは数十年の稼働の中で、日々のレイアウト変更や小規模な増改築が繰り返されており、建設当時の竣工図は使い物にならないケースがほとんどです。図面がない状態で、暗く狭いプラットフォームに足場を組み、作業員がメジャーを伸ばして寸法を測って配管をプレハブ加工(事前製作)してきても、現場の空中の見えない障害物にぶつかってしまい、結局「現物合わせの溶接」で何日も工期が伸びてしまう……。これがプラント改修における“あるある”であり、最大のコスト増の要因です。
2. 三次元レーザースキャナーがプラントを「丸裸」にする
この問題を根本から解決し、「現物合わせ」を過去のものとするのが、据え置き型(地上型)の3Dレーザースキャナーによる現況のデジタル化です。
3Dスキャナーをプラントの通路や階段の踊り場に数カ所設置してレーザーを照射するだけで、何百メートルにも及ぶ配管のうねり、巨大なタンクの微妙な傾斜、鋼材(H鋼)の骨組みの位置など、目に見えるすべての空間情報がミリ単位で正確な「点群データ」としてパソコン上に取り込まれます。 これさえあれば、画面上でマウスを操作するだけで、空中に通っている配管から横の柱までのどのくらい隙間があるのか、瞬時に知ることができます。
3. 「現物合わせ」から「フロントローディング」への転換
点群データを用いてプラントの現況を完全に把握することで、工事の進め方が劇的に変わります。これを建設用語で「フロントローディング(業務の初期への前倒し)」と呼びます。
- 完璧な干渉チェック 取得したプラントの点群データの中に、新設するタンクや配管の3DCADモデルを配置します。もし既存のバルブや手すりに数ミリでも干渉(ぶつかる)していれば、画面上のシミュレーションで即座に発見でき、事前に設計を変更できます。
- プレハブ加工率の極大化 現場寸法が完璧にわかっているため、配管を工場でギリギリまで溶接・組み立て(プレハブ加工)しておくことができます。
- 稼働停止工期の極小化 現場に持ち込んだらボルトで接合するだけで工事が終わるため、プラントの停止(シャットダウン・定修)期間を劇的に短縮できます。
4. プラントスキャンにつきまとう「死角」と「データ過多」の問題
プラントの3Dスキャンは魔法の杖のように見えますが、実践において専門の計測業者が苦労する2つの壁があります。
- 「死角」との戦い レーザーは光であるため、手前の配管の「裏側」は測定できず、黒い影(死角)となってしまいます。配管が何層にも重なっているプラントでは、1つのエリアを完全に把握するために、何十回もスキャナーの位置を移動(盛り替え)させなければなりません。
- データ処理の負担 何十回もスキャンしたデータは容量が何十GBにも膨れ上がります。これをパソコン上でノイズを消し、綺麗に繋ぎ合わせ(レジストレーション)、さらにそこから「どこがどの太さの配管か」をCAD図面になぞり起こす(モデリング)作業には、現場での計測以上の過酷な時間と専用のハイスペックPCが要求されます。
5. 死角ゼロの実測から配管CAD図面化まで!愛管株式会社のフルサポート
プラントの過酷な現場計測から、オフィスでの重いデータ処理・CAD化まで。自社で機材を揃えて対応するのが困難なこれらの全プロセスは、配管設備のプロフェッショナルである愛管株式会社のワンストップ・3Dスキャンサービスへ丸ごとお任せください。
最大の課題である「死角」に対して、私たちは二段構えのハイブリッド・スキャンで挑みます。工場内の広い空間や長い直管の測定には、極めて高精度な固定型レーザースキャナー「Trimble X7」を使用。そして、Trimble X7のレーザーが届かないような、複雑に絡み合ったパイプの裏側や、人がやっと潜り込めるような狭小スペースには、ハンディ型スキャナー「3DMakerpro Eagle Max」を持って作業員が直接侵入し、データを補完します。
例えば200平米ほどのプラント設備エリアであれば、配管の重なりを完璧に除去するために30回以上もの果てしない機器の盛り替え(移動設置)を行い、半日以上をかけて空間の隅から隅までをデータ化し尽くします。私たちは、この泥臭い現場作業をプロの意地としてやり遂げます。
現場を終えたあとの重いデータ処理作業もご安心ください。自社オフィスの専門環境にて、専用の点群処理ソフト「InfiPoints」で点群を美しく繋ぎ合わせ、「Rebro」等の設備CADを用いて、お客様の次期改修計画ですぐに使える完璧な「配管3DCADモデル」へとコンバートして納品いたします。
現場でのスキャンからオフィスでの図面化までを誰にも下請けに出さず「完全内製化」しているため、お見積もりは「面積・階数ベース」のシンプルな明朗会計。全国のプラント現場への出張対応はもとより、静岡県内であれば、その正確な図面をベースにした実際の配管改修工事自体も自社の職人で施工可能です。 配管だらけで図面がないプラントのリノベーションは、ぜひ愛管株式会社へご相談ください。
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参考文献
- ASME B31.3 “Process Piping Code” — プラント配管設計の国際規格として参照
- “3D Scanning for Plant Turnaround Optimization” — プラント定修期間短縮のケーススタディとして参照