1. 既設配管の改修工事は「図面がない」から始まる

工場、化学プラント、ビルの機械室など、あらゆる産業施設に血液のように張り巡らされているのが「配管」です。これらの配管は経年劣化による保温材の剥がれ、内部の腐食、あるいは生産ラインの増強に合わせて、定期的な更新工事・改修工事が必須となります。

しかし、配管改修工事において最も厄介な前提条件があります。それは「現状の正確な配管ルートが記載された図面は、ほぼ100%存在しない」ということです。 何十年も稼働している設備では、現場の判断で行われたバイパス管の増設や、他の機械を避けるための取り回しの変更が図面に反映されていない(竣工図がアップデートされていない)のが当たり前です。

2. 伝統的な「現物合わせ」が引き起こす手戻りとコスト

図面がない状態で新しい配管を通す場合、これまでは職人が現場にメジャーを持ち込み、何日もかけて寸法を測り、空中での配管の「曲がり」をスケッチしていました。

しかし、複雑に交差する配管をメジャーだけで立体的に把握することは不可能です。そのため、工事の当日に新しい配管を持ち込んでみると「既存の柱に1cmぶつかって入らない」「新しいバルブのハンドルが回せない」といった事態(干渉トラブル)が多発します。 結局、現場でバーナーを使って配管を切断し、再度現場で溶接して繋ぎ直すという「現物合わせ」に頼ることになり、工期の延長と火気使用による安全性の低下、そして莫大な追加コストを招いていました。

3. レーザースキャナーによる一瞬の「3D点群化」

この配管工事の常識を根底から覆すのが、3Dレーザースキャナーによる現状のデジタル化です。

対象となる配管空間の周囲に据え置き型の3Dスキャナーを数カ所設置し、レーザーを数十秒〜数分照射するだけで、複雑に絡み合った配管やバルブ、周囲の架台や手すりまで、すべてがミリ単位の「3D点群データ(無数の点の集まり)」となってパソコン上に取り込まれます。 これさえあれば、どれほど複雑な空間であっても「空中にどれだけの隙間があるか」を画面上でマウスをクリクックするだけで正確に把握できるため、新しい配管ルートの設計が完璧に行えます。

4. 点群データから配管CAD図面を起こす(モデリング)

点群データだけでも「空間の隙間」を知ることはできますが、より高度な改修設計や維持管理を行うためには、点群を「配管のCADデータ」に変換する「リバースエンジニアリング(図面化)」の作業が必要です。

専門のソフトウェア(InfiPointsなど)を使用すると、数十億の点の集まりの中から「この円筒状の点の並びは、外径〇〇mmの配管である」「ここはエルボ(曲がり手)である」と自動・半自動で認識させることができます。このデータを、設備設計の標準CADである「Rebro」などに引き渡すことで、古い工場であっても最新の3Dデジタル図面を手に入れることが可能になります。一度図面化してしまえば、以後のちょっとした改修計画でも現場に測りに行く必要はなくなります。

配管設計の国際規格としてはASME B31.3(プロセス配管コード)が広く採用されており、リバースエンジニアリングで復元したCADデータも最終的にはこの規格に準拠した精度が求められます。

5. 配管スキャンの落とし穴「死角」と膨大なデータ処理

配管の3Dスキャンにおいて、必ず直面する壁が2つあります。

  • 死角(レーザーが届かない裏側) レーザーは直進する光です。手前の配管の裏側や、密接して並んだ配管の隙間は黒い影(死角)となりデータが取れません。そのため、スキャナーを「上から」「下から」「斜めから」と何度も位置を変えて(盛り替え)計測する必要があります。
  • データサイズと処理の重さ 何度もスキャンしたデータを一つの空間に結合(レジストレーション)すると、数十GBものデータサイズになります。これを快適に動かすには、極めて高価なワークステーションPCと、ソフトウェアの年間ライセンス、そして何より「点群を配管と見分ける」熟練のオペレーターの目が不可欠です。

6. 死角ゼロの実測から配管CAD図面化まで、愛管のフルサポート!

「自社で高額なスキャナーやソフトを買うのは難しいが、配管の現物合わせによる溶接のやり直しや工期延長は絶対に避けたい。」 配管改修におけるそんな切実な悩みにお応えするのが、配管のプロフェッショナルである愛管株式会社のワンストップ・3Dスキャンサービスです。

最大の壁である「現場の死角」を完全に無くすため、私たちはハイブリッドな計測体制を導入しています。基本となる空間の計測には、超高精度なハイエンド固定型レーザースキャナー「Trimble X7」を使用。そして、固定機ではどうしてもレーザー光が届かない配管の裏側や、天井裏の狭小スペースには、作業員が身を捩ってハンディ型スキャナー「3DMakerpro Eagle Max」を直接入れ込みカバーします。 200平米ほどの入り組んだ配管設備であれば、30回以上の機材の設置変更(盛り替え)を行い、半日以上をかけて現場に這いつくばる泥臭い計測作業を、お客様に代わって徹底的に行い尽くします。

さらに、持ち帰った超巨大で重い点群データの処理もご安心ください。自社オフィスの強力な処理環境にて、専用ソフト「InfiPoints」で点群を配管データへスマートに変換・クリーンアップし、業界標準の設備配管CAD「Rebro」を用いて、お客様の干渉チェックならびに改修設計にそのまま使える完全な「3DCAD図面」へとモデリングして納品いたします。

現場での過酷なスキャンから、オフィスでの高度な図面化までを下請けに出さず「完全内製化」しているため、お見積もりはマージンなしの「面積・階数ベース」による明朗会計。全国の現場へ出張計測に伺います。 (さらに静岡県内であれば、作成した正確な図面を元にした実際の配管改修工事自体も、自社の職人で施工可能という絶対的な強みがあります!)

図面のない既存配管のスマートなリノベーションは、まずは愛管の3Dスキャンサービスへお気軽にご相談ください。

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参考文献

  • ASME B31.3 “Process Piping Code” — プロセス配管設計の国際規格として参照
  • ISO 14692 “Petroleum and natural gas industries — Glass-reinforced plastics (GRP) piping” — プラント配管の国際規格として参照