1. 物理的なメジャー(巻尺)が不要になる時代
引越し先の部屋のドア幅を測りたい時や、新しく買うソファがリビングに収まるか確認したい時、手元にメジャー(巻尺)がなくて困った経験はないでしょうか。 現在、誰もが持っているスマートフォンのカメラと内蔵センサーを活用すれば、画面越しに現実世界の長さを測ることができる「計測アプリ(メジャーアプリ)」が無料で当たり前に使えるようになっています。
ただし、ISO 10360シリーズ(三次元測定システムの精度試験)に規定されるようなプロ用計測器の精度基準と比較すると、スマートフォンアプリの精度はあくまで概略把握レベルにとどまる点には注意が必要です。
2. スマホで長さを測る2つの仕組み(ARとLiDAR)
これらのアプリは、主に以下の2つの技術のどちらか(または組み合わせ)を使って距離を算出しています。
- AR(拡張現実)技術による画像解析 スマホのカメラ映像から「床」や「壁」の平面をソフトウェアが認識し、ユーザーがタップした2点間の距離を計算して画面上に表示する方式です。特別なセンサーを持たないほぼ全てのiPhone・Androidで利用できます。
- LiDAR(レーザー)センサーによる直接測距 iPhone 12 Pro以降の「Pro」モデルやiPad Proに搭載されている「LiDARスキャナー」を使う方式です。対象物に向けてレーザーを照射し、跳ね返ってくるまでの時間で距離を測るため、画像解析方式に比べて暗い場所でも極めて正確で、測定スピードも段違いに速くなります。
3. おすすめの無料・定番計測アプリ3選
日常で使いやすい、定番の計測アプリをご紹介します。
① iOS標準「計測(Measure)」アプリ
- 対応:iPhone / iPad
- 特徴:Appleが純正でインストールしている最もシンプルで使いやすいアプリです。カメラを向けて画面中央の点をタップし、開始点と終了点を指定するだけで線を引き、長さを表示してくれます。Proモデル(LiDAR搭載機)で使うと、人の身長を自動で一瞬にして測る専用機能も使えます。
② AR Ruler App(ARルーラー)
- 対応:iPhone / Android
- 特徴:Androidユーザー向けの定番アプリです。単なる直線の長さを測るだけでなく、部屋の角を連続してタップしていくことで、部屋全体の「面積」や「体積」、あるいは「壁の角度」などを自動計算してくれる高機能さが売りです。
③ 3Dスキャンアプリの「計測機能」(Polycam等)
- 対応:iPhone / Android
- 特徴:「Polycam」のような部屋の間取りを作成する3Dスキャンアプリの中で、スキャンが完了したあとの「3Dモデルの画面上」で2点間をタップして長さを測る使い方です。現場で急いで測らなくても、一度部屋をスキャンしておけば、後から家でゆっくりと「ドアの幅」や「天井の高さ」を確認できるのが最大の強みです。
4. スマホ計測アプリの「限界と誤差」
引越しや家具選びの目安としては最強のツールですが、気をつけなければならない弱点もあります。
- 数センチの誤差が必ず出る 測るたびに「101cm」「98cm」のように結果が少しブレます。スマホの手ブレや、カメラが床を正しく認識できなかったことによる計算エラー(ドリフト誤差)が原因です。
- 透明なガラスや鏡面は測れない カメラの画像解析もレーザーも、透明なガラスは突き抜けてしまい、鏡は反射してしまうため、正確な測定ができません。
5. ミリ単位の絶対的な精度を求めるならプロの測量へ
このようにスマホの計測アプリは「数センチの誤差」を持つため、建設現場の施工や、工場の配管改修において「新しい設備が既存の配管にぶつからないか」を確認するような「ミリ単位のシビアな干渉チェック(プロの実務)」には絶対に使ってはいけません。寸法を間違えて工場で配管を切断してしまえば、取り返しのつかない大事故と損失に繋がります。
「工場のレイアウト変更をしたいが図面がない。ミリ単位の正確な現況寸法を知りたい」。 そんな失敗の許されない現場の寸法計測と図面化は、設備の配管設計・施工のプロフェッショナルである愛管株式会社のワンストップ・3Dスキャンサービスにお任せください。
空間の誤差を許さないため、私たちは建設現場で最高峰の信頼を得ているハイエンド地上型レーザースキャナー「Trimble X7」を自社導入しています。X7は、スマホとは異なり、数十メートル先のプラント空間全体であっても常に【数ミリ以内】の安定した誤差で正確に点群(寸法データ)化します。 さらに、固定型では影になる入り組んだ設備や配管の裏の「死角」に対しては、高精度なハンディ型スキャナー「3DMakerpro Eagle Max」を併用。スタッフが半日以上をかけて機材の設置移動(盛り替え)を行い、空間情報を死角なく計測し尽くします。
そして愛管の最大の強みは、持ち帰った点群データを自社オフィスのプロ用ソフト「InfiPoints」で解析し、お客様が普段使い慣れている業界標準の設備CADソフト「Rebro」などで即座に使える「完璧な精度の3DCAD図面にモデリング(図面化)」して直接納品する点にあります。
過酷な現場のミリ単位スキャンから、高度なモデリング図面化までのプロセスすべてを、外注下請けゼロの「完全内製化」で請け負うため、面積と階層に基づく明朗会計で全国の現場へ出張対応いたします。 (静岡県内の現場であれば、作成した高精度図面を用いて、実際の配管・設備改修工事自体も自社で一貫施工可能です)
スマホアプリのレベルを超えた、絶対に現物合わせのトラブルを起こさない「プロの現況図面作成」は、愛管の3Dスキャンサービスへご相談ください。
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参考文献
- ISO 10360 “Geometrical product specifications — Acceptance and reverification tests for coordinate measuring systems” — 三次元測定の精度基準として参照