1. 迫り来る「インフラ老朽化」と点検作業の限界

日本全国に存在する橋梁、トンネル、ダムなどの社会インフラは、高度経済成長期に集中的に建設されたものが多く、建設後50年以上が経過する老朽化インフラの割合が急速に増加しています。これらを安全に維持するため、行政は定期的な点検を義務付けています。

従来、インフラ点検の基本は作業員が実際に近づいて目と耳で確認する「近接目視」や「打音検査」でした。しかし、橋の裏側や高層ビルの外壁、交通量の多いトンネルの天井などを点検するには、巨大な足場を組んだり、深夜に交通規制をかけて高所作業車を入れたりする必要があり、莫大なコストと危険、そして深刻な技術者不足という限界に直面しています。

2. 3Dスキャン(レーザー・写真)が実現する非接触点検

この過酷なインフラ点検の現場に革命をもたらしているのが、遠隔から安全に、かつミリ単位で構造物を計測できる「3Dスキャン技術(非接触三次元測量)」です。手作業でのスケッチや写真撮影に頼っていた「点」の記録を、広範囲を瞬時に記録する「面(3D空間)」の記録へとアップデートします。米国でもFHWA(連邦高速道路局)が橋梁点検基準(NBIS)を改定し、ドローンやレーザースキャンによる非接触計測を正式な点検手法として組み込むなど、世界的にインフラ点検の3D化が標準となりつつあります。

ドローン(UAV)による写真・レーザー測量

人が近づけない急峻な斜面にあるダムや長大橋の橋脚などには、ドローンを飛ばして点検を行います。高解像度カメラで数百枚の写真を撮影して3Dモデル化する「フォトグラメトリ(SfM)」や、ドローン搭載型のLiDAR(レーザースキャナー)を用いて、高所のひび割れやコンクリートの剥落状況を安全にデータ化します。

モービルマッピングシステム(MMS)

自動車の屋根にレーザースキャナーと全方位カメラを搭載し、時速数十キロで走りながら道路やトンネルの形状を連続スキャンします。交通規制をかけることなく、トンネル内壁の変形や路面のわだち掘れを広範囲かつスピーディに計測できます。

地上型レーザースキャナー(TLS)

橋の下からの計測や、浄水場などの地上施設の点検には、三脚に据える地上型スキャナーが活躍します。ミリ単位の精度で巨大な擁壁(ようへき)をスキャンし、過去のデータと重ね合わせることで、目視では気づかないような「数ミリの傾きや歪み」を検出することが可能です。

3. 点群データ×AIによる「異常の自動抽出」時代へ

インフラ点検の次なるフェーズは、取得した膨大な3Dデータ(点群や高解像度画像)を、人間が目で見て探すのではなく、AI(人工知能)に解析させることです。

AIに過去のひび割れやサビの画像を大量に学習(ディープラーニング)させておくことで、スキャンされた3Dモデル表面から「幅0.1mm以上のひび割れ」を自動的に検出し、CAD図面(展開図)上に自動でマッピングするソフトウェアが実用化され始めています。これにより、点検後の報告書・調書作成の時間が劇的に削減されています。

4. 特殊な地下インフラや配管設備の点検・図面化の壁

橋梁やトンネルといった大空間のインフラ点検においては、前述のドローンやMMSの活用が進んでいますが、「地下の巨大な浄水施設」や「複雑に配管が絡み合う地下共同溝」「老朽化したポンプ場」などの閉鎖空間・プラント的インフラ設備においては事情が異なります。

これらの現場はGPS等の電波が届かず、ドローンの自動飛行も困難です。さらに、無数の配管が障害物(死角)となるため、地上型スキャナーを何度も何度も人力で移動させて計測しなければ、空間の全容を把握することができません。

5. 複雑な設備インフラの確実な調査・図面化は愛管株式会社へ

「老朽化した水処理施設のポンプと配管を入れ替えたいが、竣工図面が存在しない」「地下ピット内の配管の取り回しが複雑すぎて、新設ルートの設計ができない」。 このような難易度の高い設備系インフラ・プラントの現況把握と図面化は、現場の泥臭い計測ノウハウを持つ愛管株式会社のワンストップ・3Dスキャンサービスにお任せください。

設備が入り組んだ過酷な空間において、愛管は最強のハイブリッドシステムで挑みます。広々としたメイン空間の計測には、測量業界で絶対的信頼を誇るハイエンド固定型レーザースキャナー「Trimble X7」を設置。そして、Trimble X7ではレーザーが奥まで届かない配管の裏の隙間や、人がやっと入れるようなタンクの裏側のような死角に対しては、スタッフがハンディ型スキャナー「3DMakerpro Eagle Max」を直接持ち込んでデータをくまなく取得します。

配管が密集する200平米ほどの地下インフラであっても、死角を完全に無くすために30回以上の機材盛り替え(移動設置)を行い、半日以上をかけて現場に専念して「完全な現状データ」を持ち帰ります。

そして、持ち帰った大容量の点群データを、自社オフィスにて専用ソフト「InfiPoints」でクリアに仕立て上げます。さらに、ただの点群としてお渡しするだけでなく、業界標準CAD「Rebro」等を用いて、お客様の改修計画にそのまま使用できる「正確な設備CAD図面」へとリバースモデリングして納品いたします。

現場での過酷なスキャンからオフィスでの精巧なCAD図面化まで、一貫した「完全内製化」により、面積・階数ベースの明朗会計で全国のインフラ現場へ出張いたします(静岡県内限定で、その図面をベースとした実際の配管改修工事自体も自社でお請け可能です)。 図面がなく手が付けられない設備インフラの課題解決は、愛管のワンストップサービスへご相談ください。

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参考文献

  • FHWA National Bridge Inspection Standards (NBIS) — ドローン・3Dスキャンの橋梁点検への正式組み込みとして参照
  • AASHTO Manual for Bridge Evaluation (MBE) — インフラ評価・点検の全国基準として参照