1. 「点群(メッシュ)」と「CADモデル」の決定的な違い
3Dスキャナーで対象物を読み取って得られるデータ(点群や、点群を三角形の面でつないだポリゴンメッシュ)と、設計図面として使われる「CADデータ(ソリッド/サーフェスモデル)」は、根本的に構造が異なります。Geomagic Design Xのような専用リバースエンジニアリングソフトウェアは、スキャンデータからCADモデルへの変換精度に関してISO 10360やVDI/VDE 2634の検証基準を満たす出力が可能です。
点群やメッシュは「表面の無数の点の集まり」や「細かいカクカクした面」に過ぎず、そこに体積や「ここは直径50mmの完全な円柱である」といった幾何学的な情報は存在しません。そのままでは、金型を削り出したり、既存の3D CADソフト(SolidWorksやInventorなど)で部品として組み込んで設計変更したりすることができないのです。
この「スキャンしたカクカクの点群・メッシュデータ」を元にして、なぞるように滑らかで完璧な「CADデータ」へと描き起こす(変換する)プロセスを「リバースエンジニアリング(逆行工学)」と呼びます。
2. リバースエンジニアリングの王者「Geomagic Design X」
このリバースエンジニアリングの分野において、世界中の製造業やエンジニアリング企業から圧倒的な支持を集めている業界標準の専用ソフトウェアが、Oqton社(旧3D Systems社傘下)が提供する「Geomagic Design X(ジオマジック・デザイン・エックス)」です。
Geomagic Design Xの最大の特徴は、「現物のスキャンデータ」と「CAD化する機能」を一つのソフトウェア内で極めて高レベルに融合させている点です。 取り込んだスキャンデータ(メッシュ)の表面形状から自動的に「シリンダー(円柱)」や「平面」の特徴を抽出し、パラメトリックなCADモデルへと半自動的にコンバートしていく強力な強力なAIとアルゴリズムを備えています。部品の摩耗や歪みによっていびつになってしまったスキャンデータを、「設計者が本来意図したであろう完璧な幾何学形状(真っ直ぐな線や真円)」として補正しながら復元できるのが最大の強みです。
3. 機械設計CADシステムとの「リアルタイム連携」
Geomagic Design Xが製造現場で選ばれるもう一つの決定的な理由は、「LiveTransfer(ライブトランスファー)」というシームレスな機能です。
通常、リバースエンジニアリングソフトで作ったCADモデル(STEPやIGES形式)を普段の機械設計用CADソフト(SOLIDWORKS、Siemens NX、Creo、Inventorなど)にインポートすると、ただの「塊のデータ」になってしまい、寸法を変更したり穴の位置をずらしたりする「設計の履歴(フィーチャーツリー)」が失われてしまいます。 しかし、Geomagic Design XのLiveTransfer機能を使えば、作成したモデリングの履歴ごと直接主要なCADソフトへリアルタイムに転送できます。使い慣れたCADソフト上で、過去の担当者がゼロから設計したかのようにモデルを自由に(簡単に)再編集できるのです。
4. 莫大な導入コストと専門スキルの壁
金型の再生や、製造中止部品の復元において魔法のようなツールであるGeomagic Design Xですが、導入には大きなハードルがあります。
まず、ソフトウェア自体のライセンス価格が数百万円と非常に高額です。また、それを快適に動かすためのグラフィックボードを搭載したワークステーションPCが必要です。 なにより、これだけ高機能なオートメーションツールであっても、「スキャンデータのどこを基準面として捉えるか」「どの順番でモデリングしていくか」という機械設計の深い知識を持った専任のオペレーター(設計者)がいなければ、全く使いこなすことができません。
5. 巨大なプラントや工場の空間リバースモデリングは愛管へ!
Geomagic Design Xは「機械部品」や「金型」などの比較的小さな対象物のリバースエンジニアリングにおいては最強のツールです。しかし、対象物が「建屋全体」や「配管が無数に張り巡らされた巨大な工場空間」となった場合は、空間点群処理に特化した別のハイエンドソフトウェア(InfiPoints等)と、設備や配管設計に特化したBIM/CADソフト(Rebro等)を用いた、異なるリバースアプローチが必要になります。
「古い工場設備に新しいラインを入れたいが、図面がない。現場の配管が入り組んでいて、正確な現況の設備CADデータ・BIMデータが必要だ」。 そんな巨大空間の高精度な計測とリバースモデリング(図面化)は、配管・設備のプロである愛管株式会社のワンストップ・3Dスキャンサービスにお任せください。
設備が複雑に入り組んだ「死角」だらけの現場において、私たちは妥協のないハイブリッド・スキャンを行います。建設現場で絶対的信頼を誇るハイエンド固定型レーザースキャナー「Trimble X7」と、隙間に入り込める高精度ハンディ型スキャナー「3DMakerpro Eagle Max」を併用。たとえ200平米ほどの工場の一角であっても、スタッフが這いつくばって30回以上の機材移動(盛り替え)を行い、半日以上をかけて「一切の死角がない」完璧な計測データを取得して持ち帰ります。
当社サービスがお客様に提供する最大の価値は、この巨大な点群を「InfiPoints」等のプロ用環境で解析し、設計変更のベースとしてそのまま使える「完璧な設備の3DCAD図面に変換(リバースモデリング)」した状態でお渡しすることです。
数百万の高額ソフトの自社導入や、オペレーター育成の必要は一切ありません。面倒で過酷な現場計測から高度な図面化までを、外注下請けゼロの「完全内製化」で請け負うため、面積や階層に基づく明朗会計で全国に出張対応いたします。(静岡県内限定で、その完璧な図面による「実際の配管設備改修工事」自体も自社施工可能です)
図面レスによる現物合わせのトラブルを永遠に終わらせたい方は、愛管の3Dスキャンサービスへご相談ください。
関連記事
- 3DスキャンデータからCAD図面を作る方法
- 三次元点群処理とは?データ最適化の手順と専用ソフト解説
- 点群データ×BIM/CAD連携ガイド|取り込みから活用まで
- 点群データ処理ソフト比較|無料・有料の主要ツール
- リバースエンジニアリングとは?3Dスキャンの活用術
参考文献
- VDI/VDE 2634 “Optical 3D measuring systems” — リバースエンジニアリングの精度基準として参照