1. 建築分野における3Dスキャンの重要性

高度経済成長期に建てられた多くのビルや商業施設が老朽化を迎え、大規模なリノベーション(改修・用途変更)の需要が急速に高まっています。新築ではなく「既存のストック(建物)を活かす」時代において、最大の障壁となるのが「正確な竣工図面が存在しない」という問題です。

紙の青写真しか残っていない、もしくは度重なる改修工事の履歴が図面に反映されておらず、現状と図面が全く違う「図面不整合」の状態は、改修時の耐震計算や新しい設備設計において致命的なエラーを生み出します。 そこで近年、建築業界で急速に普及しているのが、既存建物を丸ごとレーザーで計測し、ミリ単位の3Dデータとしてデジタル化する「3Dレーザースキャン」技術です。

2. 実空間をそっくりそのままBIM化「Scan to BIM」

建設業界では現在、建物の3Dモデルに「材質」や「コスト」などの情報を持たせる「BIM(Building Information Modeling)」の導入が進んでいます。新築設計においては最初からBIMで設計を行いますが、既存建物をBIM化するためには「現状の建物の正確な寸法」を取り込む必要があります。

このプロセスを「Scan to BIM(スキャン・トゥ・ビム)」と呼びます。 地上型レーザースキャナーを用いて建物の外観・内観をスキャンし、取得した「点群データ」をRevitなどのBIMソフトウェアに背景として読み込みます。そして点群を“なぞる”ようにして柱、壁、床、窓枠などをBIMパーツとして再構築していくのです。

このBIM情報管理のプロセスはISO 19650として国際規格化されており、モデルに求められる情報の質と量が体系的に定義されています。また、米国BIM ForumのLOD仕様では、改修設計に使うScan to BIMモデルは一般にLOD 300〜350が推奨されています。 これにより、図面がない古いビルであっても、最新のスマートビル同等の緻密なデジタルデータを持ち、精度の高い維持管理や改修計画を立てることが可能になります。

3. 手作業の現況調査(現地調査)との圧倒的な違い

従来の改修工事前の現地調査(現調)では、数人のスタッフが現場に出向き、レーザー距離計やコンベックス(メジャー)を使って壁から壁までの距離や天井の高さを手作業で測定し、野帳に手書きで記録をしていました。

  • 計測漏れと再訪問のリスク 手作業の場合、事務所に戻ってから「あそこの梁の厚みを測り忘れた」と気付き、再度現場に足を運ぶという致命的なタイムロスが頻発します。3Dスキャンであれば、空間全体の情報を一挙に持ち帰るため、「測り忘れ」という概念自体が存在しなくなります。
  • 複雑な形状の可視化 歴史的建造物の装飾や、経年劣化により少し歪んでしまった壁など、「直線」や「直角」が想定できない場所の形状も、3Dスキャンならありのままの形でキャプチャできます。

4. ビル設備・バックヤード改修での威力の凄まじさ

ビルの改修において最もシビアな寸法精度が求められるのは、実は意匠(デザイン)部分ではなく、「天井裏の空調ダクト」や「地下ピットの給水・排水配管」、「機械室」といったバックヤードの躯体・設備部分です。

ここは各種配管が複雑に入り組んでおり、手作業での測長は不可能です。3Dスキャナーを用いて設備の密集地帯を点群化し、それに合わせて新しいエアコンの配管やケーブルラックのルートを設計(干渉チェック)しておくことで、現場での「ダクトが梁にぶつかって通らない」といった高額な手戻りを完全にゼロにすることができます。

5. 建築のスキャンからBIM化・CAD化まで!愛管株式会社のワンストップサポート

建物の3Dスキャンには、現場でのスムーズな計測ノウハウと、取得した数億点にも及ぶ大容量の点群データをBIMやCADへと変換するための専門スキルが必要です。機材とソフトを含めた莫大な初期投資と人材育成を自社で行うのは、多くの設計事務所やゼネコンの支店にとって重い負担となります。

そんなときは、「建築の現況取得」と「図面化」のプロフェッショナルである愛管株式会社のワンストップ・3Dスキャンサービスをご利用ください。

私たちは、建設現場で絶対的な信頼を誇るハイエンド固定型レーザースキャナー「Trimble X7」を用いて、ビルの外観から内部空間までをミリ単位で高精度スキャンします。さらに、Trimble X7ではどうしても物理的にレーザーが入っていかない機械室の裏側や、天井裏の入り組んだ配管の隙間などには、機動力のあるハンディ型スキャナー「3DMakerpro Eagle Max」を併用。二つの機材を組み合わせる「ハイブリッド・スキャン」により、老朽ビルの複雑な設備空間すらも「死角ゼロ」でデータ化します。

例えば、地下の密集した機械室(約200平米)であれば、30回以上もスキャナーの位置を変更(盛り替え)しながら、スタッフが半日以上をかけて空間を舐めるように徹底計測します。

スキャン終了後もデータを渡しておしまいではありません。自社オフィスの強力なPC環境にて、専用ソフト「InfiPoints」で点群データを結合・最適化し、業界標準の設備CADソフト「Rebro」などを用いて、お客様の改修計画・BIM化の土台となる「正確な3DCADデータ」にまで変換して納品いたします。

これら全ての工程を完全自社内製化しているため、外注マージンを排除し、「面積・階数ベース」の明朗な料金体系で全国のビル・建築現場へ出張対応いたします。 (静岡県内限定で、その図面を元にした実際の配管・設備改修工事までお請け可能です)

図面のない既存建物のリノベーション・BIM化戦略は、まずは愛管株式会社の3Dスキャンへご相談ください。

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参考文献

  • ISO 19650 “Organization and digitization of information about buildings and civil engineering works”
  • BIM Forum LOD Specification — Scan to BIMモデルのLOD 300〜350定義として参照
  • GSA BIM Guide Series 03: 3D Laser Scanning — 米国連邦政府の建築3Dスキャン基準として参照