1. なぜ「スキャンしただけ」ではCAD図面にならないのか?

現場を3Dレーザースキャナーで計測すると、パソコンの中に一瞬で建物のホログラムのような立体データが現れます。しかし、このデータは無数の「点」の集まり(点群データ)に過ぎません。

この点群データを直接CADソフト(AutoCADやSolidWorksなど)に読み込んでも、ただの「重い背景画像」としてしか機能しません。そのため、点群の中にある「これは配管だ」「これはH鋼の柱だ」という形状を人間の目と専用ソフトの力で抜き出し、CAD上で扱える「ソリッドモデル(体積を持った立体パーツ)」へと描き起こす(モデリングする)作業が絶対に必要になります。 このプロセスを、点群からのリバースモデリング(リバースエンジニアリング)と呼びます。

2. 点群データからCAD図面を作る「3つのステップ」

実際に点群をCAD図面へと変換していくプロのワークフローは以下の通りです。

Step1:点群のクリーンアップ(前処理)

現場で取得した巨大な点群データ(数十GB)には、通行人やガラスの反射による「ノイズ」が大量に含まれています。まずはInfiPointsなどの専用の点群処理ソフトを使って、これらの不要なノイズを丁寧に消しゴムで消すように削除し、パソコンがフリーズしないサイズまでデータを最適化(軽量化)します。

Step2:自動抽出アルゴリズムの活用

最適化された点群の中で、AI(アルゴリズム)の力を借ります。「InfiPoints」等のハイエンドソフトには強力な自動抽出機能があり、特定の範囲を指定すると「ここは直径100mmの配管の並びですね」「ここは平らな床面ですね」と、ソフトが点群の形から推測してCADパーツ(シリンダーや平面)を自動で当てはめて(フィッティングして)くれます。

Step3:熟練オペレーターによる手動モデリングと微調整

AIによる自動抽出は完璧ではありません。複雑に絡み合った配管や、老朽化して錆びたり歪んだりしている配管は、ソフトが正しく認識できないため、最後は人間(設計者)の手が必須となります。 画面の中で点群の「点」の断面を見つめながら、CADソフトのパーツを少しずつ手動で配置し、ミリ単位で角度や位置を調整していく、非常に泥臭く専門的な作業を数日から数週間かけて行い、完全な図面を完成させます。

3. 「誰がモデリングするか」で図面の価値が全く変わる

このモデリング作業において最も重要なのは、作業者が「機械設計や配管設備の知識を持っているか」という点です。

例えば、長年の重みで中央が2センチ「たわんでいる」配管の点群データがあったとします。 設備の知識がないモデラーがこれを忠実にトレースすると、「真ん中が曲がった変なパイプ」のCADデータができてしまいます。これでは次の改修設計に使えません。 しかし、配管設備の知識があるオペレーターであれば、「これは本来真っ直ぐな1本のパイプが自重でたわんでいるだけだ」と判断し、意図的に補正をかけて「真っ直ぐで完璧な円柱」のCADパーツに置き換えて(正常化して)図面化します。これが本来あるべき「図面化」の姿です。

4. プラント設備の「正しいリバースモデリング」は愛管へ

「古い工場の設備を改修したいが図面がないため、正確なCAD図面が欲しい」。 そんな干渉チェックや次期設計のベースとなる絶対的な「現況図面化」は、配管設備設計のプロフェッショナルである愛管株式会社のワンストップ・3Dスキャンサービスへご依頼ください。

愛管の最大の強みは、測量屋でもIT代行業者でもなく、「配管設備工事業のプロ」がスキャンとモデリングを行っているという点です。

私たちは、現場にハイエンド固定型レーザースキャナー「Trimble X7」と、死角を補完するハンディ型スキャナー「3DMakerpro Eagle Max」を持ち込みます。プラントのような入り組んだ配管設備であっても、30回以上の機材盛り替えを行い、スタッフが半日以上をかけて「一切の死角と妥協のない完璧な点群データ」を取得します。

そして、持ち帰った巨大な点群データを、私たちの自社オフィスにて「InfiPoints」で解析。配管施工の現場を知り尽くした熟練の設計スタッフが、単に点群をなぞるだけではない「設備の意味を理解した補正モデリング」を行います。 完成したデータは、お客様が普段お使いの業界標準設備CADソフト「Rebro(レブロ)」などで即座に編集・活用できる「生きた3DCAD図面」として納品いたします。

過酷な現場スキャンから、高度で専門的なCADリバースモデリングまでを、外注マージンなしの「完全内製化」でご提供。面積や階層に基づく分かりやすい料金で全国の現場へ出張いたします。 (さらに静岡県の現場であれば、作成した完璧な図面をもとに、実際の配管改修工事自体も自社の職人で一貫して施工可能です)

使えない点群データではなく、改修に直結する「設計者のための3D図面化」は愛管へお任せください。

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参考文献

  • VDI/VDE 2634 “Optical 3D measuring systems” — Scan-to-CADの精度検証基準として参照