1. 3Dデータ作成を専門業者へ依頼する流れ
製品のデジタル化や工場レイアウトのシミュレーション、さらには設備の改修において、精巧な3Dデータの必要性は年々高まっています。しかし、自社で3Dスキャナーを導入し、専門のソフトウェアを扱える人材を育成するには多大なコストと時間がかかります。
海外の建設・FM業界の調査でも、BIMや3Dスキャンモデリングを専門業者にアウトソーシングすることで、社内チームの採用・育成コストと比較して25%以上の削減が可能になり、プロジェクト期間も30〜40%短縮できるという結果が示されています。こうした背景から、3Dデータ作成はプロの専門業者へ委託するのが最もコストパフォーマンスに優れた手段と言えます。
専門業者へ依頼する際の一般的なフローは以下の通りです。
- 問い合わせ・要件定義 まずは、何を目的として3Dデータ化するのか(例えば「既存の配管図面を作成したい」「文化財をデジタルアーカイブしたい」など)、対象物の大きさや場所、必要なデータ形式(メッシュデータ、CADデータ、BIMモデルなど)を専門業者に伝えます。この段階で、使用するスキャナーの種類や精度の目安が決定します。
- 現地調査・お見積り 複雑な設備や大規模な空間の場合は、事前に現地調査を行い、死角の有無や作業環境を確認した上でお見積りが提示されます。
- 現地での3Dスキャン作業 業者がミリ単位の精度を持つレーザースキャナーなどを現場へ持ち込み、対象物の立体データを取得します。規模にもよりますが、数時間から数日で完了します。
- 点群処理・データ変換・図面作成 取得した点群データ(三次元の点の集合体)を専用ソフトで処理しノイズを除去、そこからご要望に応じた3DメッシュやCADモデル、2D図面へと変換・モデリング作業が行われます。
- 納品およびアフターフォロー 完成したデータを受け取ります。必要に応じてデータの修正や、さらなる活用に向けたサポートが提供されます。
2. 依頼費用が決まる仕組みと相場感
3Dデータ作成の費用は、主に「対象物の規模(スキャンにかかる時間と労力)」と「納品データの種類(後処理にかかる手間)」によって大きく変動します。
対象物の規模・形状
単一の小さな部品であれば数万円で済むこともありますが、工場全体やプラント施設、配管が入り組んだ複雑な場所となると、費用は跳ね上がります。これは対象物が大きくなるほど、スキャナーの設置位置を変更(盛り替え)する回数が増え、作業時間が伸びるためです。
納品データの種類とモデリングの難易度
スキャンして得た「点群データ」そのものを納品するだけであれば、費用は比較的安く抑えられます。しかし、「点群から配管のみを抽出して3D CAD化してほしい」「不要な設備を消去してシミュレーション用のモデルを作ってほしい」といったモデリング作業(リバースエンジニアリング)が加わると、データ処理に熟練の技術と膨大な工数がかかるため、費用は高くなります。
費用相場の目安(建築物・設備の場合)
- 小規模(10〜50㎡程度・単室): 約15万円〜30万円
- 中規模(50〜200㎡程度・戸建てや小規模工場): 約30万円〜60万円
- 大規模(200㎡以上・プラントや大型商業施設): 80万円〜数百万円(規模と仕様による) ※あくまで一般的な相場であり、業者やモデリングの詳細度により異なります。
なお、海外では「スキャンの費用は全体の30%程度、その後のCAD/BIMモデリングが70%を占める」というコスト構造が報告されています。見積時には、スキャン価格だけでなく「最終的に何を納品してほしいか」まで含めた総額で比較することが重要です。
3. 納品される「CADデータ」とは?主な形式と活用法
3Dデータ作成を依頼して納品されるデータは、目的に応じていくつかの形式に分かれます。単なる「絵」ではなく、寸法や属性情報を持ったCAD(Computer Aided Design)データとして受け取ることで、データの価値は飛躍的に高まります。
点群データ(PTS、LAS、E57など) レーザースキャナーで取得したそのままのデータです。何億もの座標点の集まりで、現況の把握や干渉チェックに利用されます。
ポリゴン・メッシュデータ(STL、OBJなど) 点群を面で繋いだデータ形式です。3Dプリンターでの出力や、メタバース・VR空間でのCG素材として活用されます。
3D CADソリッドモデル(STEP、IGESなど) 部品の体積や重心の計算が可能で、機械設計や解析に用いられる形式です。
BIM/CIMデータ(Revit形式、IFCなど) 建築や土木分野で主流の形式です。柱や配管に対して「材質」「メーカー」「耐用年数」といった属性情報を持たせることができ、維持管理までを一貫して行えます。
IFC形式はISO 16739として国際規格化されており、ソフトウェア間のデータ互換性が保証されています。
4. 失敗しない!依頼先の選び方
3Dデータの作成業務は、「スキャン(計測)」と「モデリング(データ作成)」という二つの高度な技術が組み合わさって成立しています。業者選びで失敗しないためのポイントは以下の3点です。
- 使用機材とソフトウェアの充実度 広範囲を一気に測る「据え置き型レーザースキャナー」だけでなく、狭い隙間や入り組んだ場所も計測できる「ハンディ型スキャナー」も併用できる業者だと、死角のない高品質なデータが期待できます。また、点群処理に優れた専用ソフト(InfiPointsなど)を導入しているかも重要です。
- 内製化率と一貫対応 スキャン計測は自社で行うものの、データのモデリングや図面化は外部へ下請けに出している業者の場合、コミュニケーションロスによる品質の低下や、中間マージンによるコスト増に繋がる恐れがあります。計測からデータ化までを一貫して社内で完結できる業者を選びましょう。
- 料金体系の透明性 「見積もりを取ってみたら、後からオプション料金が次々と追加された」というトラブルを防ぐため、面積や階数ベースで料金設定が明確な業者を選ぶと安心です。
5. スキャンから設備CAD化・施工まで!愛管株式会社のワンストップサービス
既存工場やプラント現場において「最新の図面がない」「図面と現状が異なっており、設備の改修工事計画が立てられない」といったお悩みがあれば、ぜひ愛管株式会社にお任せください。
当社は、現場での「高精度3Dスキャン」から、オフィスでの「点群処理・設備CADの作成」、さらには「実際の設備改修工事」に至るまでを完全に自社で一貫して行うワンストップ・ソリューションを提供しています。
数ミリ単位の精度が求められる現場には、ハイエンド固定型レーザースキャナー「Trimble X7」と、死角や狭所のデータ取得に最適なハンディ型スキャナー「3DMakerpro Eagle Max」をハイブリッドで稼働させ、確実なデータを取得します。
実際のプラント現場などでは、200平米ほどの空間であっても、入り組んだ配管設備があればスキャナーの設置位置を変更(盛り替え)する作業が30回以上発生し、現場に半日以上張り付いてスキャンを行うという泥臭く根気のいる作業が必要です。私たちは現場でのデータ取得に全集中し、大容量となる点群データの処理と、専用ソフト「Rebro」を用いた設備CAD化の作業は、自社オフィスの強力な処理環境で行うことで、最高品質のデータをスピーディに納品いたします。
さらに、これらの工程を完全内製化しているため中間マージンを一切排除し、「面積・階数ベース」という極めて明朗なお見積りをご提示しています。全国への出張スキャン対応はもとより、静岡県内であれば取得したデータを元にした実際の配管・設備改修工事まで自社で完結いたします。3Dスキャンによる図面レスからの脱却は、愛管株式会社にご相談ください。
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参考文献
- ASTM E2807 “Standard Specification for 3D Imaging Data Exchange, Version 1.0” (E57 format)
- ISO 16739 “Industry Foundation Classes (IFC) for data sharing in the construction and facility management industries”
- Scan-to-BIM業界のコスト構造分析 — 複数の海外業界レポートに基づく(2026年2月26日閲覧)
- “The ROI of Outsourcing BIM & 3D Scanning” — (BIMアウトソーシングによる25%のコスト削減と時間短縮のメリットとして参照)