1. 3Dスキャンと従来測量、そもそも何が違う?
「3Dスキャンなら一瞬で終わるんでしょ?」とよく聞かれますが、実際のプラントでは200㎡で30回ほどのスキャンが必要で、半日はかかります。それでも従来測量より圧倒的に正確で、手戻りが激減します。本記事では、愛管が現場で両方を使い倒してきた経験から、それぞれの得意・不得意を正直にお伝えします。
1.1 3Dスキャンの仕組み
3Dスキャンは、レーザーや光学センサーで対象物の表面を高速に走査して、点群(ポイントクラウド) と呼ばれる膨大な三次元座標データを取得する技術です。
わかりやすく言えば、「目に見えるものをまるごとデジタルの立体データにしてしまう」イメージです。取得したデータは、後工程で寸法測定や干渉チェック、BIM化などに活用できます。
非接触で測れるので、配管の裏側や天井裏など手が届きにくい場所でもデータが取れます。
ミリ単位の精度が出るため、従来の手測量に比べて測定誤差が格段に小さくなります。
海外の比較研究でも、地上型レーザースキャナー(TLS)はトータルステーションとの直線距離の差がわずか2mm程度という結果が出ており、広い範囲を「面」で捉えながらこの高精度を維持できるのが最大の強みです。
なお、TLSの精度検証方法は ISO 17123-9(地上型レーザースキャナーのフィールドテスト手順) として2018年に国際規格化されており、現場でのスキャナーの信頼性を客観的に評価できる枠組みが整っています。
1.2 従来測量の仕組み
一方、従来の測量はトータルステーションなどを使って、基準点からの角度と距離を1点ずつ測っていく手法です。
昔からある確実な方法ではありますが、測点を一つひとつ拾っていくため、広い現場では時間がかかります。また、「点と点の間」は測れていないので、後から「ここの寸法が足りない」と気づいて再測量に行く……なんてことも珍しくありません。そんな経験、ありませんか?
海外の建設プロジェクトでも、この「測り漏れによる再訪問」は大きなコスト要因として指摘されています。3Dスキャンの場合は空間を丸ごとデータ化するため、現場を離れた後にパソコン上で任意の2点間の距離を測り直せます。「測り忘れ」という概念自体がなくなるのは、現場を知る人間にとって非常に大きいメリットです。
1.3 「3Dスキャンなら一瞬で終わる」は本当?(ここが超重要)
よく「3Dスキャンなら数分で終わるんでしょ?」と聞かれるのですが、実際はそんなに甘くありません。
カタログ上は「1回のスキャンが数分」と書いてあっても、工場やプラントの現場には壁・配管・機械がところ狭しと並んでいて、死角だらけです。1回スキャンしただけでは全体像は到底つかめません。
私たちの経験では、平均して200㎡くらいの現場で30回前後のスキャンが必要になります。毎回スキャナーの位置を変えて(これを「盛り替え」と言います)、三脚を立て直して、水平を取って……という地道な作業の繰り返しです。
移動や設置の時間も含めると、トータルで半日(3〜4時間) はかかるのが現実です。決して魔法のようにパッと終わるものではなく、むしろかなり泥臭い作業なんです。でも、だからこそ従来測量では取れなかった「面」のデータが手に入る。この泥臭さに見合うだけの価値があると、私たちは日々の現場で実感しています。
ちなみに、「泥臭い」とはいえ従来測量と比べれば圧倒的に効率的です。
欧米の建設・測量業界での比較調査によれば、レーザースキャンの導入により現場でのデータ取得時間は従来の手測量と比較して最大50%短縮されると報告されています。従来なら数日がかりだった商業ビルの現況測量が、スキャナーなら1日で完了した事例も多く、「再訪問コスト」を完全排除できる点がトータルコスト削減の最大要因として評価されています。
2. 私たちが現場で使っている機材とソフト
愛管では、用途の異なる2種類のスキャナーと、データ処理用のソフトウェアを組み合わせて使っています。「なぜこの組み合わせなのか」を、現場の感覚も交えてご紹介します。
2.1 測量の主役:Trimble X7(固定型スキャナー)
現場でまず手に取るのが、Trimble X7 です。三脚に据えて使う固定型のレーザースキャナーで、プラント全体のレイアウトを把握したり、配管ルートの基準寸法を取ったりするのに欠かせません。
私たちがX7を選んでいる理由はシンプルで、「精度が高くて、広い範囲を一気にカバーできるから」 です。工場の主要配管が数百メートルに及ぶような現場でも、X7を核にすれば全体の骨格をしっかり押さえられます。
ただし先ほどもお話しした通り、プラントには障害物が多いので、30回前後のスキャンと盛り替えが必要です。移動・設置を含めると半日仕事になることも珍しくありません。楽ではないですが、この工程を丁寧にやることで、後の設計・施工がスムーズに進みます。
2.2 死角を埋める補助ツール:Eagle Max(ハンディ型スキャナー)
X7だけでは、どうしてもレーザーが届かない場所が出てきます。配管の裏側、バルブの入り組んだ箇所、機械の隙間……。そういった死角を埋めるために、3DMakerpro Eagle Max というハンディ型のスキャナーを補助的に使っています。
ここで大事なのは、Eagle Maxはあくまで「X7の補助」 だということです。メイン機にはなり得ません。「ハンディ型だけで全部やれるんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、精度や取得範囲の面で固定型には敵いません。X7でしっかり全体を押さえたうえで、「ここだけどうしても取れない」という箇所にピンポイントで使うのが正しい運用です。
2.3 データを図面にする:InfiPointsとRebro
スキャンして取得した点群データは、そのままでは「点の集まり」でしかありません。これを実際の施工に使える図面にするために、私たちはInfiPoints(点群処理ソフト)とRebro(設備CAD)を使っています。
流れとしては、まずInfiPointsでX7とEagle Maxのデータを統合して、ノイズの除去や位置の微調整を行い、さらに点群を基にした簡易的な配管モデリングまで行います。そのうえで、その簡易モデルを設備CADのRebroに取り込み、より詳細な配管やダクトの3Dモデル(BIMデータ)を作成し、図面化します。
Rebroで作ったデータは、そのまま配管の設計指示や施工図に使えるので、「測ったデータが設計・施工にそのまま繋がる」 という一気通貫の流れが実現します。
3. なぜ愛管にお任せいただけるのか
ここまでお読みいただいて、「3Dスキャン自体はわかった。でも、どこに頼んでも同じじゃないの?」と思われるかもしれません。実は、私たち愛管には他の測量会社にはない2つの大きな強みがあります。
3.1 想定を超える低価格と、わかりやすい料金体系
愛管では、スキャンからデータ処理、設計、配管製作、現場施工まですべて自社のスタッフで完結させています。外部の業者に発注する工程が一切ないので、中間マージンが発生しません。
さらに、お見積もりは「面積(㎡)と階数」 をベースにしたシンプルな計算方式です。「何にいくらかかっているのかよくわからない」ということがないように、できるだけ透明性の高い料金体系を心がけています。
実際にご依頼いただいたお客様からは、「想定していた予算よりかなり安かった」 というお声をいただくことが多く、費用面でのハードルは思ったほど高くないと感じていただけるのではないかと思います。
3.2 測量で終わりじゃない。施工まで全部やります
ここが一番お伝えしたいところなのですが、愛管は「測量屋」ではなく「総合設備会社」 です。
3Dスキャン自体は全国どこでもお伺いします。実際に北海道から九州まで、幅広いエリアからお問い合わせ・ご依頼をいただいています。そして静岡県内や近郊エリアであれば、スキャンだけで終わらず、Rebroで作成したデータをもとに、配管の製作から現場への搬入・据付・配管接続まで、自社のチームで一括対応できます。
「測った人」と「施工する人」が同じチームだからこそ、設計と現場のズレが起きにくく、手戻りも最小限で済みます。データを渡して終わり、ではなく、最後まで責任を持って仕上げる。これが愛管のワンストップ体制です。
4. まとめ:3Dスキャンと従来測量、どう使い分ける?
ここまでお読みいただいて感じていただけたと思いますが、3Dスキャンは万能ではありません。「障害物が多くて死角だらけ」「既存図面があてにならない」といった現場でこそ真価を発揮しますが、更地や新築のように障害物が少ない現場なら従来測量でも十分対応できます。
費用対効果の面では、海外のプラント改修事例で3Dスキャンの導入コストが約9か月で回収され、検査工数が30人日以上削減されたという報告もあります。特に配管が密集した既存設備の改修では、手戻り防止による間接的なコスト削減効果が非常に大きいのが特徴です。
大事なのは、「どちらが優れているか」ではなく、「自分たちの現場にどちらが合っているか」です。私たち愛管は、その判断からお手伝いできます。現場の状況をお聞かせいただければ、「うちの工場なら3Dスキャンを入れる価値があるか」を率直にお答えします。
まずはお気軽にご相談ください。
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参考文献
- ISO 17123-9:2018 “Optics and optical instruments — Field procedures for testing geodetic and surveying instruments — Part 9: Terrestrial laser scanners”
- “3D Laser Scanning vs. Traditional Surveying” — Point Scan (従来手法と比較した最大50%の時間短縮に関するレポートとして参照)